砂原に リミックス

砂原に 砂原を歩いていると、人間の手が蠢いていたので、掘り出した 父だった 父はこんなところに埋まっていたのだ 途中から誰かがわかったので、指先でなでるように、焦って掘り出した 息をしていた 父とはもう語ることはなかったので、 一緒に砂原に座って…

砂原に

砂原に 砂原を歩いていると、人間の手が蠢いていたので、掘り出した 父だった 父はこんなところに埋まっていたのだ 途中から誰かがわかったので、指先でなでるように、焦って掘り出した 息をしていた 父とはもう語ることはなかったので、 一緒に砂原に座って…

「チューリップの花が咲いたよ」

赤くて、黄色いメッシュの ツンと尖ったおすましやさん あっち向いて、そっち向いて あら、知らんふり 「あたしが一番きれいなの」 見上げて うふふって

蕗の薹 推敲中

【初稿】 まず蕗の薹 雪が溶けて、側溝に水が流れるようになったら大根を洗う 切干しを干せるのは寒のうちだけだから 残りは塩にして、糠漬けの樽に詰め込む 味噌を仕込むのはこの時期で 麹菌が繁殖するほどにぬるくて 雑カビがあまり混じらないぐらいには寒…

 ひさかたの

ひさかたの 溶けかけた雪を数ふる ややの声に 蜃気楼 追うて飛ぶ鳥影重なりて うつつ 覚め また 灰色に沈む眠りの重みの暖かさ

竹輪焼之絵

竹に塗り付けたいわしのすり身を 火で炙る小僧どもの絵だった そこは乱雑な砂浜で、 小さな古びた漁船が数隻、浜に上げられている 波打ち際には いわしが猫もまたいで通るほどに転がり かもめも嫌がる腐った魚の悪臭がゆらゆらとたちのぼる 食いつめた乞食の…

Moon dance #2

月が満ちる前 誠意とかプライドとか品位とか常識とか 建て前とか愛とか見栄っぱりとか 少しづつ羽が生えて飛んでいってしまって 赤裸々なスケルトンが 恥ずかしそうに震えながら立っている ああ、月が欲しいのだ

Moon dance #1

彼はダンディなステッキだった。 細身で骨ばっているが肩幅は広く 非常に形のよい小さな頭をしたほんの少し老成した雰囲気のある紳士で、 大陸の人のように長い手足を優雅に伸ばし、 はにかむような笑いを浮かべてまっすぐに立っている。 気がつけば、あたし…

 photograph

#1側溝のふたをもちあげて みずみずしい、ふっくらした葉の雑草が とてつもない力で太陽にむかって伸びた #2笑う はちきれそうだ #3ダンス 街角で其々の人生を生きる其々の人々は まったく関係のない道を歩いていくのに 一緒に一つのダンスを踊ってい…

戯れ歌

豚さん豚さん カメラを買うて ブタクサさんを写したそうや ブタクサほうほう恥らって 黄色い花が赤うなったさ ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 梁山泊スレのアンダーバー騒動でひょいと書いた詩

幽霊ダンディー切断レディー

某総理表明演説 年間3万人以上の自殺者がでるようになって、もうひさしい。 この10年けの累計で25万人を超える自殺による死者がでているということになる。我々は、自殺という犠牲を伴う戦争を行っている最中なんだとそろそろみとめようじゃあないか。 い…

2ch閉鎖騒動によせて エリュアール ギミック

ぼくの生徒の日のノートの上に ぼくのパソコン ぼくの携帯の上に 砂の上 雪の上に ぼくは書く おまえの名を 読みつくしたすべてのスレッドの上 まだ書いていないすべてのスレッドの上に 石や血や紙や灰に ぼくは書く おまえの名を 金色に彩られたエロ画像の…

Moon faces (あばた顔)

Moon faces (あばた顔) 大きな車輪が回って はまぐりな子供たちが「さようなら」と死んじゃった 残った大人たちは一体何がいけなかったかと 青い鳥を探しまわって 青い鳥はやっぱりいなくて、黒い鳥しかいないので 黒い鳥の羽をむしって、焼き鳥をこさえて…

 三面の鏡台、朝倉様、狐御殿

三面の鏡台 窓に南部鉄の風鈴が揺れていた母の寝室に磨きこんだ鏡台が置いてあった。 紅い漆塗り仕立てに螺鈿の小菊が片隅に寄せられた扉がついていて そっと開けると互い違いになった2枚鏡が内側に現れ、大きな三面を作り出す。 かすかな香水と白粉の香りが…

家の庭にたぬき

家の庭にたぬき 東の家の日向で 毛づくろい くしゃみひとつ

2030年 2月1日 ○日報朝刊

[海中海上住居網実用実験開始] 増加しつつある海抜0以下地域を必死の堤防で守ってきた政府は、このたび 水中、水上での生活を模索する実験を開始することになった。 実験の母体になるフロート網住居は NASA宇宙開発事業団との連携のもと、 水圧、防水、台風…

2chに最初に書いた詩

駅を出たところで、中年の親父に1万円札を手に握らされた。 ほとんど半泣き状態になっていて、 「これでナンカ美味しいモンでもかいんさい」 って言いながら、べろんべろんに酔ってた。 高校の制服着てて、時間もそう遅くないのに、何故この親父は? 不思議…

「正義が行われる部屋」

黄金率で区切られた空間 厳格なまでに滑らかな床 顔が映るほどに磨かれた鏡面の壁に均等に空けられた窓 窓では絵画的までに美しい、様々な風景が現れては消える 直角を正確に刻んだ家具に 清潔なリボンとひびのないガラス瓶 きちんと畳んだハンカチ 許可され…

「廃棄を待つ街」初稿

聖家族教会スレッドに投稿 梁山泊 お題 ゴミ 用の習作157 :名前はいらない :2007/01/23(火) 18:33:02 id:QH6W8v7N ニュータウンの整った町並みの中 幼い子供たちの遊ぶ姿は 窓辺を飾る白いレースと花だった 必要不可欠な期待値を満たすなにものか? 人気が…

「廃棄を待つ街」

ニュータウンに猫はいない 時折現れる人も、あしばやに通り過ぎて 過去の希望が焼け焦げてしまった残骸に 気づかないふりをする つぶれたペットボトルが 風に吹かれてすべっていった 「郊外の一戸建て」に住む女は 独りパンの造花を作り続ける いつか誰かが…