震災当時、鼻血が出て心配だったというおかあさまへ、、、


色々計算してみました。


☆震災後の鼻血は一過性か?その後も継続か?:
1、一過性の場合:物理的な原因を疑います(鼻の内部に何らかの原因で傷ーーアレルギー反応や異物) ⇒傷が治ればOK 
2、継続している場合:病的な原因を疑います⇒病院へ

震災直後の鼻血はもしかしたら多かったかもしれない(⇒春休み期間に入り、統計がない。)
継続性はどうもなさそう(福島県内の保健室での聞き取り調査でも白、年間の県別保健室統計からも、地域差はみられないーー鼻疾患数の数値そのものはいくつかの県で若干高めだが、揺らぎの範囲)
⇒どうも一過性。(←病的な原因である可能性が激減するので、まずは安心してください)


☆なんらかの原因が放射性物質と仮定した場合、放射性エネルギーによって鼻血の原因になるような外傷になるか?⇒ならない。
ヨウ素治療の服用量(メガベクレル単位を一度に服用:1MBq=1000000Bq その日のうちに70%排出&一部鼻粘液からも分泌しても鼻血はでない)から考えて、鼻の中に仮に1万Bqが停留してても、そこからの放射線では痛みも感じないし、鼻血にも直結しません。


☆では、放射性物質の粒径が大きくなったせいで、異物となり鼻粘膜に傷がつくだろうか? :
http://www.niph.go.jp/journal/data/60-4/20116004003.pdf
「131I のほとんどはガス状であるが一部は微小粒子として存在しているのに対し放射性セシウム(134Cs と 137Cs)は数ミクロンの粒子として存在」

およそ数ミクロンとは(マイクロメートル)ーー今話題のPM2.5と同レベルか少し大きいぐらいー
なので、単独の粒子だけでは鼻血と直結はしにくいです。
しかし、数ミクロンの大きさの粒子は、ほとんど上気道領域で止まる(肺まで入らない)
ヨウ素131はガス状なので⇒肺で血管へ吸収) Csが粒子状で鼻腔に残りやすいという事は言えるかもしれません。
http://www.env.go.jp/council/07air/y078-07/mat02_1.pdf


☆粉塵としての被害の可能性? ⇒ここで問題になるのは濃度。

☆粉塵濃度を調べてみる
4月15日付近の避難所の粉塵濃度は、工事現場レベル0.2 〜3(f/L)でした。
あとの比較のため㎥単位で考えると、1立方mは1000Lなので、立方メートルあたり200〜3000個の粉塵粒子が飛んでいることになります。(⇒粉塵マスクが必須なレベルです)
http://www.env.go.jp/jishin/attach/asbestos_survey_r110427.pdf
(この時点ではほとんどの放射性粒子は雨で地表面に沈着済み。これは大気中の放射性濃度測定によって確認できます。浮遊しているのは他の粉塵の分)
比較 2012年11月分(おおむね1ケタさがりました)
http://www.env.go.jp/jishin/attach/asbestos_survey_r121220.pdf
福島県内の避難所の数値が宮城県より高かったのは、多分換気のできない屋内退避が長く、人が長期間にわたって避難所内にこもっていたせいじゃないかな?という気がします。資料の中でも繊維の粉塵が多かったとあるので、服や毛布や布団綿の埃が沢山浮遊していたのではないでしょうか。)

国立環境研究所の粉塵調査をみてみると、
http://www.nies.go.jp/sympo/2012/pdf/2012_youshi_a04.pdf
http://www.nies.go.jp/sympo/2012/pdf/2012_slide_a04.pdf
調査時期が少し遅いのですが、初期はもっと高かったはずです。

多分鼻血の原因はこれ。


でもきっと気になると思うので、

☆放射性粒子の粉じん濃度を考えてみる
大気中の放射性粒子の放射能濃度は、、3月19日の福島第一原発構内はCs137 の2.4 × 10-3 Bq/㎤ Cs134 2.2 × 10-3 Bq/㎤= 4.6 Bq/L =4600Bq/㎥
ヨウ素が、1.4Bq/L=1400 Bq/㎥
1立方メートルあたり6000Bq。
http://www.niph.go.jp/journal/data/60-4/20116004003.pdf


☆じゃあ、放射性の粉塵濃度は?、
Lあたり何粒子あるかを出さないといけないです。
⇒1粒子あたりの平均放射性濃度。

仮に1粒子あたりの放射性濃度を1Bq未満と仮定すると、粉塵濃度があがり、
逆に1粒子あたり数Bqと仮定すると、1Lに粒子1個以下。粉塵濃度は下がります。

原発構内のCs137の粒子を例にとってみると、
例えば1粒子が2.4Bqだったら、1Lに1粒があります。
1粒子が0.0024Bqだったら1Lに1000粒が含まれ、逆に1粒子が24Bqだったら10Lに1粒です。

しかし1Lに数ミクロンの粒子が1000個もあったら、物凄い粉塵濃度になってしまってそれだけで問題がおきているはずなので、おそらく後者です。つまりイメージとして、1㎥あたり100個ぐらいの放射能24Bq粒径数ミクロンのCs137粒子が3月19日の原発構内を浮遊してたという感じではないかと思います。(←1粒子あたり何Bq集まっていたのか?は本当に見当がつかないので、どなたかご存じでしたらご教示ください)


ここでさらにイメージを持つために、花粉の量と比較します。

http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/hozen/pdf/120208-04.pdf
? 飛散量が普通の年では1㎥あたり数十個、飛散量の多い年では1㎥あたり数百個程度。
?? 過去9年間の最大値は、2008年3月の群馬県での観測値で、 過去9年間の最大値は、2008年3月の群馬県での観測値で、 1㎥あたり2 1㎥あたり2,,207個。
スギ花粉の大きさは30μmなので、約10倍です。10倍の大きさの粒子が通常年で数百個飛んでるから、異物として花粉のほうがはるかに迷惑。
http://www.jwa.or.jp/content/view/full/4691/ (←2011年は大飛散の年でした)



ただし、小さければいいかというと、そういうわけでもなく、、、

米国ガン協会コホートの2002年の調査によると、PM2.5が1立方メートルに付き10マイクログラム増えれば、心臓や肺の病気の死亡率が9%、肺ガン死亡率が14%増えるとされており、全死亡率では6%増えるととされています。

・WHOは、1立方メートルに付き25マイクログラム未満を推奨。
アメリ環境保護庁は、
40までが「許容範囲」とし、
66以上で「危険:一 般の人々に呼吸器病状が表れる」、
251以上で「緊急事態:心臓や肺の悪い人、お年寄りの病状は著しく重くなり、死亡率も高まる。 
・日本の現行の基準値は、1日平均で1立方メートルあたり35マイクログラムで、世界と比較すると高いとも低いともいえません。

数ミクロンの1粒子の重さが1μグラムというわけではないので、比較しにくいですが、
粒径が小さければ、原発構内の粒子は粉塵としても危険だったということが言えるかもしれません。
アスベストの資料で拾っている粉塵は、数μmの長さの長い繊維が主です)

☆敷地外ではどうか?
ダスト濃度をみてみます。
ダストサンプリングの測定結果
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/contents/6000/5079/24/115_hp_0912_18.pdf
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/contents/4000/3698/24/1210_201103.pdf

原発周辺はさすがに高くて0.5〜最大で11000Bq/㎥までの濃度が観測されています。
原発構内と同じく、高い場所では粉塵として危険でした)

しかし、全体にみれば、原発周辺の採取ポイントでも、立方メートルあたり数ベクレル止まりです。
大人が吸入する大気の量を平均1.5㎥/hと考えると、事故初期の原発周辺のダストが濃かった場所を除けば 震災の粉塵に紛れてしまうのではと思います。





追加 除染時の粉塵量と放射性濃度
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001wd45-att/2r9852000001wf2g.pdf