Moon faces (あばた顔)

Moon faces  (あばた顔)                        



 
大きな車輪が回って
はまぐりな子供たちが「さようなら」と死んじゃった
残った大人たちは一体何がいけなかったかと 青い鳥を探しまわって
青い鳥はやっぱりいなくて、黒い鳥しかいないので
黒い鳥の羽をむしって、焼き鳥をこさえて
むしゃむしゃと
食べて、 食べながら泣いたんだ



怯えた小動物は レースのハンカチを食べて 肉食動物に変身
ぐわしゃん ぐわん しゃん しゃりんと
騒がしい音を立てて 坂道を転がった
落ちそうで落ちない
落ちそうで  落ちそうで  落ちないぎりぎりを
あああ ああ ああ


100円ショップで買えるひまわり
コンビニおにぎり ペットボトル
水量が少ないシャワー
洗ってもきれいに落ちない全自動洗濯機
漬かってない漬物  水っぽい牛乳
こぎれいで、肝心なものが足らない狐屋敷


狐のお面をかぶった奥様
「これ、あのものを捕まえよ」と、僕を指差して
奥様の声は僕のかあさんそっくり
僕が「かあさん」と声をかけてみたら
きっと、聞いたとたんにそれとわかって
お面とって「ゆるしておくれ、小僧」と涙を流すんだ
そんな白昼夢にふけるまもなく、僕の母かなんてどうでもよくて
狐奥様の屋敷から一目散に逃げ出した


つっかかる石ころ なめらかじゃあない
足の裏が切れて
てんてん てん
てん てん
振り返る狐屋敷の未練が
僕の足をひっぱって
きれいなトイレでおしっこをしたいと泣くんだ


「泣くな。」




《鬼がくるから 見つからないようにそっと
 キリキリキリキリ クークークー
 そっと そっと  穴を掘ってね》