蕗の薹 推敲中

【初稿】


まず蕗の薹
雪が溶けて、側溝に水が流れるようになったら大根を洗う
切干しを干せるのは寒のうちだけだから
残りは塩にして、糠漬けの樽に詰め込む
味噌を仕込むのはこの時期で
麹菌が繁殖するほどにぬるくて
雑カビがあまり混じらないぐらいには寒い1月の終わり
少し取りおいた麹で金山寺味噌を作る
タラの芽
大事に食べてきた晦日の餅がなくなり
節句には一臼搗くので
犬のオシッコがかからない 崖に生えたヨモギをむしる
草もちを拵えたら春の本番
去年の小豆を2昼夜かけて餡に煮て
お彼岸さまのぼたもち
ぜんまいのアクを抜き
ふきのピリ辛醤油煮をゆっくりと食べ終えたころにはつくしが生える
頭がほうけてしまわないうちに急いでとって
指を紫にしながらはかまをとって
強めの味で炊き込みご飯
暖かい雨の朝、竹やぶで筍の頭が
薄っすらと腐葉土を持ち上げてきたら
ああ、春も終わりだ

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【推敲】



まず蕗の薹
雪が溶けて、側溝に水が流れたら大根を
切干しに干せるのは寒のうち
あとは塩して、漬けものの樽
味噌を仕込むのは
麹菌が繁殖するほどにぬるく
雑カビがさほどには混じらない寒さの1月の終わりで
少し取りおいた麹で金山寺味噌
タラの芽
大事に食べてきた晦日の餅がなくなり
節句にはもう一臼
犬のオシッコがかからない 崖に生えたヨモギ
草餅を拵えたら春の本番 
去年の小豆を2昼夜かけて餡に煮て
お彼岸様のぼたもち
ぜんまいのアクを抜き
伽羅蕗をおしみおしみ食べ終えたころにはつくしの
さきっちょがほうけてしまわないうちに
指を紫にしながらはかまをとって 炊き込む
暖かい雨の朝、筍が
薄っすらと腐葉土を持ち上げてきたら
春も終わり