もう一つの論文、詳細検討続き 心音と血圧と心電図

☆心音

胸部の心音の聴診の結果は、収縮期雑音(functional systolic noise)と収縮期クリックが 第1グループで26人(83.8%)、第2グループでも26人(86.7%)の子ども達から聞こえた。 対照群では16人(48.5%)の子ども達に雑音がある。

Clean, loud tonesは、対照群で51%となる、グループ1の5 人(16,2%) グループ2の4人 (13,3%)と比べると多い。

Table 2

Frequency of auscultative modifications in children os the basic and control groups

Auscultative data

1
Functional systolic noise
18 (58,0%)
22 (73,4%)
12 (36,4%)
2
Noise of systolic click
8 (25,8%)
4 (13,3%)
4 (12,1%)
3
Clean, loud tones
5 (16,2%)
4 (13,3%)
17 (51,9%)

参考↓心音
http://suuchan.net/note/Chapter-030302.html 

私見ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
対照群(セシウム蓄積なし)のグループでも、心音の異常が48.5%あったのは、どう考えるべきなのかな? セシウム蓄積と心臓関連の相関関係に疑いをみるべきか。それとも強烈な初期被曝が影響しているとみるか?

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☆血圧

The level of arterial pressure is a basic indication of the functional state of cardiovascular system. When performing functional loading probes the reliable increase of the hypertonic type of vascular reaction to the physical load in 8 children (25.8%) of the first group and 15 children (50%) of the second group of the basic group and in 3 children (9.1%) of the control group (Table 3, fig. 4).

動脈の血圧は、循環器系の機能をみる基本的な指標だ。
セシウム蓄積量の高いグループでより高い緊張が見られた。 
第一グループで8人(25.8%) 第2グループで15人(50%)。これに対して、対照群では3人(9.1%)。 
Type of vascular reaction
1、Normotonic
21 (67,7%)
12 (40%)
28 (84,8%)

2、Hypertonic
8 (25,8%)
15 (50%)
3 (9,1%)

3、Asthenic
2 (6,5%)
3 (10%)
2 (6,1%)

ーーーーーーーー私見ーーーーーー
低血圧症に近い3番に該当する子どもは、各グループで差がみられない。
これは、セシウム蓄積そのものが直接的な病因ではない可能性がある。
いっぽうで、高血圧傾向を示す2番では明らかな偏差が出てる。セシウム蓄積量に応じて、血圧へのストレスが存在することを示しているかもしれない。しかし、実際に治療が必要とされるほど悪化するまでには至ってない。
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☆心電図


In children of the first and second groups and control groups ECG-modifications were accordingly found in 25 (87.1%), 28 (93.4%) and 17 (51.5%).
The present modifications are disorder of conduction (partial bundle branch blockade) and combined modifications (disorder of metabolic processes in myocardium and partial bundle branch blockade).
4 children (12.9%) of the first group, 2 children (6.6%) of the second basic groups and 16 children (48.5%) of the control group had the normal ECG-results (fig. 1, 2). The dependence of ECG-modifications on the average Cesium-137 specific activity in children’s organism was detected.
After taking pectin, containing sorbent, there was the reliable decrease of the frequency of metabolic processes in myocardium in combined pathology in children from the first basic group from 7 (25.9%) before taking pectins and 2 (9.5%) after taking pectins (fig. 2). In children from the second basic group the present modifications before and after taking pectins such modifications were accordingly found in 14 (50%) and 4 (17.4%). In the control group there were no reliable differences, because they did not receive the sorption pectin therapy. (table 4 and fig.5).

心電図での波形変化は、1番目と2番目グループおよび対照群の子どもでは次のように見つかった。①;25(87.1%)、②:28人(93.4%)および 対照:17人(51.5%)。
現在の波形変化は、伝導の変調 (partial bundle branch blockade)と 複合的な変化(disorder of metabolic processes in myocardium and partial bundle branch blockade)である。


第1グループの4人の(12.9%)と、第2グループの2人(6.6%)および対照群の16人(48.5%)が、正常なECG結果(図1および2)だった。
子どもの平均のセシウム137蓄積量に応じてECG変化が認められる。
ペクチン投与後に、信頼できる数値での複合的な心筋の代謝機能の阻害の頻度の減少が、第1グループで見られた。ペクチン投与前7人(25.9%)から投与後に2人(9.5%)に減少している。第2グループでの、ペクチン投与前と後での改善は14人(50%)と4人(17.4%)。対照群ではペクチン投与は行われず、信頼できる変化はなかった。(表4と図5)

参考↓心筋マーカー
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02932_09

ーーーー私見ーーーーーーーー
表4をみると、項目1,2,3の点では各グループ間でまったく差がなく、正常範囲。したがって、メインの心筋の動きそのものは阻害されていない。またペクチン投与後でもそれらの値は変動がないので、このあたりはセシウムとはほぼ関係がないといえる。

唯一変化があるのが、Combined pathologies と題された部分。説明をみると、どうも代謝伝導関連の数値??? 伝導の変調 (partial bundle branch blockade)と 複合的な変化(disorder of metabolic processes in myocardium and partial bundle branch blockade) 分かる人がいたら教えてください。

この点はElsya さんから指摘があって、4は1〜3の複数に該当した数を抽出したものです。
したがって、1,2,3、の値もかさ上げして考える必要があります。
ーーーElshaさんより↓
1は調律異常だろうな、と(不整脈ですね、洞性不整脈って言葉が緒言のあたりにあったかと)
2は伝導異常、で、小児に多いのは右脚ブロックかな?と
4は多分、1, 2, 3のどれか2つ以上が見られるものではありませんかね?
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☆論文の結論は
CONCLUSIONS

1. Children, living in villages and eating foodstuffs, produced there, and products from forests, have the high Cesium concentration in the organism.
2. Children from contaminated districts have functional modifications of the state of cardiovascular system, which appear as systolic noise, high arterial pressure, ECG-modifications in heart.
3. Presences of systolic noise, high arterial pressure and ECG-modifications in children’s heart are in dose dependence from the level of the Cesium-137 accumulation in the organism.
4. The use of pectins improves electrophysiological processes in myocardium, due to the decrease of metabolic processes on ECG.
1、田園地帯にすみ、私設農場や森からの食品を口にしている子ども達はセシウム蓄積が大きい
2、汚染地帯の子ども達は、心音、心電図、血圧検査から、心機能に影響を受けている
3、子ども達の心音や血圧、心電図での異常は 器官へのセシウム蓄積量程度に応じて表出されている。
4、ペクチンによって、改善がみられる

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あと図のほうで、自覚症状についてのグラフがあります。蓄積濃度に応じて自覚症状が多かったです。

ーーーーミクシより
リーフレイン
自覚症状の改善については、naka-takeさんのご指摘のように、ヴィタミン剤としてのヴィタペクトの効果の可能性も無視できない気はします。(セシウム吸着剤としてだけではなくて、ヴィタミン補給の意味で)

コーリー
論文の結論としては1〜4で良いと思いますが
3.4については怪しい部分がありますよね。
>強烈な初期被曝
これもセシウムによるものであれば、現時点でも何らかの痕跡が見られるはずでは?
セシウム以外の被曝であれば可能性はあると思いますが、その場合にはむしろ論文の蹴るトンを否定するものになるでしょう。
4についても、すでにntさん等から別所で指摘の有ったように『ビタミン配合』ですよね・・・・
ペクチンが効く検証であれば最低限(ペクチン無しは倫理的に困難という配慮をしても)
ビタミン無しのペクチンを対照投与すべきじゃないのかなあと
あとはペクチンの排出能についてですが、動物実験で効いていないのは気になる所です。
糞便の分析を詳細にすべきだったのでは無いかと・・・・


リーフレイン
コーリーさん
そう、3,4、ですよね
結局んとこ、セシウム蓄積量以外では、心音と血圧上昇傾向(マイルド)と伝達系電位と自覚症状が実験初期におけるセシウム蓄積による差だったんですよね。 しかも改善されたのは伝達系の電位と自覚症状。 項目によってはセシウム蓄積による差もみられないものがありました。
10歳の子の生物学的半減期は50日ですから、体内組織側にいってしまったセシウムの除去は 16日の治験では半分以下とみたほうがいいですよ。  半分減ったことで劇的に差が出る症状というと、組織的な変容はありえないですから、生理化学的な反応部分になります。
だから、逆に、この期間で改善がみられた箇所というのは、かならずしもセシウム起因ではないかもしれない。 逆に、蓄積差のある症状があり、しかも改善されなかった箇所こそがセシウム蓄積起因の障害なのかもしれないです。


コーリー
>生理化学的な反応部分
これですと、問題は放射性であるかどうかではなく、化学形に依存してしまうわけです。
そして化学量としてはセシウムは極微量であり、この量で有意に害が出るのであれば
セシウムを扱う研究者、工業者に既に同様の症例が見られるはずです。
ですので、機構的にかなり怪しいというか、そんな気がします。

リーフレイン
コーリーさん
だからそこでヴィタミンの効能って話に、、、

コーリー
恐らく、しっかりと統制した実験を行った場合にそれが結論じゃないかなあと。
様々な混乱による栄養の偏りと、ストレスによる症状という・・・・

リーフレイン
これね、2か月続けてくれないかなあと思いました、生物学的半減期の1回分ぐらい。
そうすると、新規に組織に入る分が激減しているはずだから、かなり傾向がわかるんじゃないのかな?
ペクチンに関してはそれっとして、 症状そのものは、ストレスだけでは説明しきれないと思いますよ。 ストレスと栄養の偏りだけならば、  計器で計測される症状のほうは、もう少しばらけると思うんですよ。 自覚症状のほうは別として。
結論をつけてしまうのは速い気がします

コーリー2011年09月19日 21:00
確かに、推測で結論は不味いですね・・・・
もう少し長くというのは同意ですが、今からは無理でしょうね。
>ばらける
欠乏する栄養素が特定のものであれば、類型的なその欠乏症が出るかと思います。
地域的に欠乏しやすい栄養もありますし、自家農園という外部隔絶じょうたいでは更に加速されるかと。
しかし、特定の結論を出すには質・量共に不十分なデータばかりと思われます。
これは執筆者の状況によるものなのか資質によるものなのか・・・・
いずれにせよ、(簡単に却下できないのもわかりますが)学会的に評価されなかったのは
止むを得ないかなと

Elysha
こんにちは。
Table 4を見ていたのですが、3. Disorders of oxidizing-restoring processes と 4. Combined pathologies が不明です。
後者は多分、上の 1, 2, 3 の複合したもの、ということだろうと推測しますが・・・
心電図で酸化還元過程の異常、とはどういうことかが解りませんでした。
いずれにせよ、1, 2, 3単独の被験者についてはペクチンで改善はみられず、複合的な変化を示す被験者だけが改善がみられた、ということのようですね。
心雑音、心電図変化(多分脚ブロックか?)とも、健康な小児でもみられるものですが、複合的な変化だけがコントロールに比べて汚染地域では割合が高いのですね。

リーフレイン
こんにちは、 Elyshaさんもわからないですかあ、、、(実は期待してたんですよ、説明をしていただけるかと、、、、)
1、のDisorders of automatism は反復形が乱れてないか?って話ですよね。(これ乱れてると嫌ですもんね)
2.のDisorders of conduction はP波から始まる、PQRST波がそれなりにちゃんとしてるか?(これも乱れてると困ります)
3、がDisorders of oxidizing-restoring processes 酸化、還元プロセス、、
http://www.miyake-naika.or.jp/health_shindenzu.html
大人のQT延長症候群はある種の薬剤(とくに不整脈の治療薬など)の影響や電解質異常(低カリウム血症、低カルシウム血症)や著明な徐脈などで起こります。
とあるので、電解質異常によるQT波形の延長のこと?
4、 Combined pathologies 同じくよくわからないです、伝達系の異常? 伝達が遅れるなら1単位の波形そのものが間延びした感じになるとか、 勃起部分の高さが低めになるとか?そんな感じなんでしょうか?
波形図つけてほしいです、、、、

Elysha
1は調律異常だろうな、と(不整脈ですね、洞性不整脈って言葉が緒言のあたりにあったかと)
2は伝導異常、で、小児に多いのは右脚ブロックかな?と
4は多分、1, 2, 3のどれか2つ以上が見られるものではありませんかね?
いずれにしても、ペクチンの治験を行うぐらいですから、重篤な異常があったわけではないだろうと了解しているのですが。(日本なら心疾患が疑われれるなら精密検査を要請しますが・・・ベラルーシではどうなのかな?)
日本の中学生の心電図検査の報告ですが、参考までに。
http://kamome.lib.ynu.ac.jp/dspace/bitstream/10131/2256/1/KJ00004473748.pdf

リーフレイン
>4は多分、1, 2, 3のどれか2つ以上が見られるものではありませんかね?
どうやって足してみても、123の数値から4は引き出せてこないので、単独の視点のものなんじゃないかなあ? なんにしても、1、2,3値はセシウム蓄積量にはまったく依存していないし、実験後にむしろ数値が増えているものもあります。 数値そのものも小さくて、正常な分布範囲な気がします。
4はなになのかな?

>・ベラルーシではどうなのかな?
おそらく日本と同じだと思いますよ。 きちんとした治療が必要なレベルならば 治療してますよ。
資料ありがとうございます。

Elysha
>どうやって足してみても、123の数値から4は引き出せてこないので、単独の視点のものなんじゃないかなあ? 
いえ、1, 2, 3 はそれぞれの変化「だけ」が見られた人で、4は、1と2とか、2と3とか、123全部とか、複合して見られた人、っていう意味です。
1, 2, 3, 4, 5 の人数を足すと n になりますよね。
ん? よく見て計算すると、百分率かなり間違ってる・・・
何に対する百分率なんでしょうか?

リーフレイン
どうも計算ミスのような気がします、、、百分率。おおむね 各欄のNに対応してるけれど、4つに1つぐらい間違ってますね、、、、、どうも雑だな、この論文、、、
なるほど、そういうことなんですね。 2個以上で該当しているなら、むしろそのほうが多いだろうから、1,2,3の値が低いのは当然ですね。 (しかしわかりにくい。冗長性を出して、各欄実数表示の上で、クロス分を別欄で明記ってほうがいいのになあ、、、)

Elysha
計算の間違いがあると、その論文に対する信頼性が落ちますね。

というか、そんな論文を通したいい加減な査読の雑誌はどこだ? と思ったら・・・
雑誌わからないんですね。査読を受けていないのかな? うーん・・・

リーフレイン
これは、どこにも出てないのかな?最初に検討しはじめたのはスイスの雑誌で
http://www.smw.ch/docs/pdf200x/2004/49/smw-10219.pdf
↑なんだけど、心臓関係の数値がほとんど載ってなかったので、探し出した別バージョンなんですよ。  下書き扱いかもしれないですね。
でも、もともとのほうも、感想文に近いとこがあるんで、、、もっと問題な気がしますが、、、
Elshaさん、心音についてはいかがですか? 雑音がはいるというのは、一般的なことなのでしょうか?

Elysha
はい、子供では心雑音、特に収縮期雑音は結構よく聴取されるようです。
聴ける医者が聴くと半数ぐらいに聞こえるという話もあるぐらい。

それでも、コントロール群に比べて割合が高いようですが。
本当は、もう成人している頃でしょうから、その後どのような経過だったのか追跡調査があるといいんですけれどね・・・