もう一つのデータの解析 グループ別と 食事の調査

検証を試みている↓の論文には
チェルノブイリの子ども達のセシウムの蓄積量と心血管の徴候と食事の関係
予備的考察:リンゴペクチンの経口摂取後の観察
http://tchernobyl.verites.free.fr/sciences/smw-Galina%20Bandazhevskaya.pdf

同じメンバーの同じ数値を扱っているもう一つの論文が存在していました。↓
Functional state of cardiovascular system in children, living permanently on the radiocontaminated territories
http://tchernobyl.verites.free.fr/z_angl/sciences_publications/Functional_state_cardiovascular.htm
こちらには、心音と心電図の少し細かいデータが載っていたので、読んでみます。

目的
1、子ども達の居住地域の汚染度と、セシウム137の蓄積量との関係を調査する。
2、心血管系の指標としてECGと、血圧検査を用い、セシウム137の蓄積別の 臓器への影響を分析する。
3、ヴィタペクト摂取前と後のECGをトレースする。

手法
ゴメリ地区からやってきた94人の子ども達(7歳から17歳の46人の男の子と48人の女の子)を対象とし、サナトリウム銀の春で滞在。 最初に子ども達のセシウム137量を計測、(SKRINNER-3M)
16日間の食事療法を行う。 

第1グループ31人 平均セシウム137量 38 ± 2.4 Bq/kg,
第2グループ30人 平均セシウム137量  122 ± 18.5 Bq/kg.
対照群33人 セシウムの蓄積はなく、吸着治療の必要もない。(ビタペクトの投与はしない) 年齢、性別の偏りはなかった。

16日間第1、第2グループは毎日ビタペクトをセシウム除去剤として服用。 この結果、第1グループで23 ± 2,5 Bq/kg (スタート時の60%) 第2グループで88±18,5 Bq/kg (スタート時の72%)にまで減少したた。


結果:
総数としての心筋系、血管系の自覚症状は、減少した。10 (30.3%)、12 (38.7%); 19 (63.4%).
自覚症状数は第1第2グループと対照群とを比較すると、第1第2グループでの減少幅のほうが大きい。 control group 10 (30.3%).


表1
食べ物のデータ
人数
Control group 33人
1st group 31人
2nd group 30人

1、Milk and products from forest
1st group:19 (61,3%)
2nd group:29 (96,7%)
10 (30,3%)

2、Foodstuffs from private farms (milk, meat)
1st group:1 (3,2%)
2nd group:1 (3,3%)
Control group:5 (15,2%)

3、Products from forest (berries, mushrooms, game)
1st group: 2 (6,5%)
2nd group: -
Control group: 4 (12,1%)

4、Do not eat the foodstuffs, mentioned above
1st group:9 (29%)
2nd group:-
Control group:14 (42,4%)

私見ーーーーーーー
なんらかの形で私営農場及び森の食べ物を食べている人数
1st group: 22/30 人 (73%) 平均セシウム137量 38 ± 2.4 Bq/kg,
2nd group: 30/30  人 (100%) 平均セシウム137量  122 ± 18.5 Bq/kg
Control group: 19/33 人 (57.5%)

(実は↑私営農場食品を食べているからといってセシウム蓄積があがるとは限らない。あくまでその品次第なのだろう。しかしセシウム蓄積が100以上のグループでは100%私営農場製品を食べているので、蓄積量から食品への関係はいえる)
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ーーーーーーーー以下ミクシ
B
医学は変わった学問で、患者で実験ができないとか、治療しないわけにいかないとか、さらには医師は医療のプロであって研究はある意味では専門じゃないなどなど、特殊事情があろうかと思います。
本来なら、もしリーフさんの考察するようなことを言うなら、一人一人のセシウム蓄積量を、1、2、3の要因の関数とするモデルを立て、寄与率や係数を求めたり、フィッティングを検定すれば良いんでしょうけど、そんな都合よくは材料(子供たち)の入院前の食事が揃わないんでしょうね。
これだけから、食事とセシウム蓄積の相関を言うのは過剰考察とは思いますし、論文の筆者もそう思ってやめたんでしょう。
でも、大体どんなかんじのことが起こってたのよ、ということをアバウトに考えてみるなら、リーフさんの考察通りなんじゃないかな。
この環境下及び社会状況下では、やばい可能性のある食品をちゃんと避けるようにしてた人々については、体内がヤバくなることはさけられてたのかも、と。
「かも」必須ですが。

あと、グループ1、2に治療しないでデータだけとるのは、可哀相だからしなかったんでしょ。
倫理的に納得できます。
治療しなかっ場合どうなんのかは、サイエンスとしては何も言えないけど、ごくアバウトには、いわゆる生物的半減期の調査事例が、似たようなレベルの体内濃度の子供についてあれば、そこから想像できますね。

らぶちん
http://www.nsc.go.jp/housya/20100130_youshisyu.pdf
http://www.aesj.or.jp/atomos/popular/kaisetsu200701.pdf
って既に読んでいたっけ?
読んでみて、ああ、チェルノブイリハートにつながるのか〜とやっと理解した相変わらずの
周回遅れだわ〜。
チェルノブイリハートの映画のうたい文句が85%の新生児が心疾患を持っているでしょ。
でも、その統計はどこから?というのがやっぱり見つけられないんだよね〜。
http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/201108
こんなのもあったよ〜。
バンダ系論文だと、どうしても行き詰まりがあって、チェルノブイリ(特にベラルーシ)の心疾患で検索してみました。
読めば読むほど、フランスのダメだしがまともだよなぁと思っちゃうんだよね。
バイアスかかりまくりかも〜。

リーフレイン
UNSCEARのは知らなかったです〜〜 金子先生のは既読。
つかさ、チェルノブイリハートも今回のバズビー教授も、さらにいえば、ヤブロコフ論文も、元をたどるとバンダジェフスキー教授の剖検論文にいきつくのよ。 数値の扱いが酷い、というのでけられているにもかかわらずね。 (正直バンダジェフスキー夫妻は、がむしゃらなんだけど、論理的な詰めが甘いような気がするんだよね。 論理を追う余裕がないぐらい、データがあふれまくってた時代にゴメリに居たって話なのかもしらんけど。)
ミンスクに移動してからしばらく実験をともにしている、ベラルーシのベラルド研究所のV. B. Nesterenkoという教授もヤブロコフ論文のメインの著者の一人なんだけど、やっぱバンダジェフスキー論文からスタートしちゃう。
ただ、この教授の場合は、研究を綿々と続けていて、現在展開してる研究は、もっと精度が高いんだよね。 なのに今でも セシウム蓄積量ベースでの制限は 子ども50 大人75で続けるべきだという基本姿勢を変えてない点があって、 バンダジェフスキー先生じゃなくて、ネステレンコ先生がそういうなら、そうかもってちょっと思わないでもない。
まあ、わからんけどね、バズビー先生みたいな人なのかもしらんし。 
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Nesterenko%20V%5Bau%5D%E3%80%80%EF%BC%97%EF%BC%95
↑名前がかかわってるものだけで246個の論文があって、ほとんど放射線関連なの。いいものもあればダメなのもある。一部は例の ちょと怪しいアメリアカデミー出版名義の、ヤブロコフ論文の抜粋。
新生児の85%が、という話は、実は昨日原典をきちんとひいてるブログを見つけたんだけど、マークせずに読み流してしまって、、、しまたなあ、、、基本、剖検論文に来るような気がする。

リーフレイン
チェルノブイリ被害実態翻訳プロジェクト (↓も参考に)
http://chernobyl25.blogspot.com/2011/07/13.html
ただ、確実に言えることは、チェルノブイリは被害が実際にあるんだよ。
セシウムのその後の研究を追いかけてると常にひっかかってくるのが「敏感な個体には影響がある」という点と、「非常に長期にわたる場合」という点なのよ。事故被曝と初期内部被曝が大きい層にとって、セシウムがトリガーになり続ける可能性ってなあ高いし、そういう層がいる以上、あの制限は必要だと思う。 
問題は、チェルノブイリと福島の違いという点でもあって、 セシウム蓄積の可能性という点はもしかしたら同値なんだけど(今の制度のままなら福島のほうが被害が広がる可能性を秘めてる。セシウムの摂取量を蓄積から判断してないし、結果として蓄積目標値もかなり大きいものね)  だけど、基本になる状況はおそろしく良いから、どうかな?

らぶちん
ネステレンコ氏も心筋に〜って言うんだったら、動脈からファイバー入れて一部組織を持ってきて放射線で遺伝子を壊されているか測定すれば白黒はっきりするんじゃないのかなぁと、素人考え。
でも、ファイバー入れるときに被曝するけど。
評価方法がものすごくチープというのか、なんか釈然としないんだよね〜。
チェルノブイリハート、85%で生存率はどうなんだろう?って思ってしまったのよ。
人口も特に減っているというわけでもない。
なので、うーん、だからどうなんだ?って思っちゃうんだよね〜。
私も例の部検論文に戻る予感がする〜。

らぶちん
一連の論文のホールボディカウンターってhttp://www.adfutec.com/image/pdf/Catalog_AT1316.pdfを使っているのかなぁと。ベラルドが使っていたのは、コレの古い形だよね〜。

リーフレイン
http://d.hatena.ne.jp/buvery/20110716
ペクチンに関してはべりーさんが↑ さすがに精度が高い。。。
体内被曝量の算定はたしかに危ういかもねえ、、、

リーフレイン
ネステレンコ教授の論文(同じ論文データなのに、整理の仕方がちがうだけで、これだけ信頼性がますのか?という証明みたいな感じにしあがってる)では、心筋の障害は、複合的な伝達系にターゲットが絞られた形になってるね。  崩壊時のエネルギーそのもんはカリウム40のほうが2倍ぐらい大きいから、直接のダメージとしてはカリウムと同じ位置にいるかぎりは変わらんとおもうけどねえ、、、
わからんです、、、

らぶちん
そうなのよ。、カリウム40の崩壊の影響を考えると???ってなっちゃうの。
放射線に特異なもんはなく、線の種類はあれだけしかない。。
神経系に行くとしたら、化学的毒性なのかなぁと堂々巡り。
そこらへん、きっちり調べて論文書いてよーと思ってしまいます。
なので、どこに溜まって危ないとかミスリードの宝庫になっちゃうと思うんだ。


B
ペクチンの効果について
上に書いたとおり、治療しないでデータだけとる処理を、汚染の確定した子供にしなかったのは倫理的に正しいのですよ。
だから、そこがデータとして欠けているというのは、サイエンスの指摘としては当然だけど、論文への批判としては倫理的配慮に欠ける批判なんじゃないかな。
サナトリウムに収容した子供に対し、その時点で最善と考えられた治療より人体実験を優先したほうがよかったのですか、ってことになります。
まあ日本の薬事法を通すための試験なら、これだけでは通らないのはもちろんでしょうね。
また、人体投与するまえに、動物実験を当然やったはずですから、この論文だけで評価するのもへんな話です。
だからこのデータはこのデータで、こうした処理下のものとして、ここから読めるとこだけ読むべきじゃないかと思います。
セシウムの減少については、グループ内、処理前後では、おそらく1パーセント片側で有意でしょうね。生データでやってみないとわからないけど、偏差が小さいからそう考えといて大丈夫です。
その意味は、上に書いたように、生物的半減期との比較で意味があるかというラインで考えるしかありませんが、当然、意味はあると推測されます。
それと、効果があるってことは影響があるってことですから、これをタブレット化したものを処方箋無しに飲むのは、とても危険ですね。
当然ですが、セシウムだけが減るわけじゃないでしょうから。

リーフレイン
Bさん
>倫理的に正しい。
まあ、その通りですね。自分もそこはしかたないなあと思います。
別の論文で、ペクチンなしの場合と比べてる言葉があって、ペクチン(というかヴィタペクトですが)なしだと、減衰率が低かったそうです。  (こちらは数字としては出てなかったので、ひいてこれなかったんですが、地の文でそのように記述がありました)
ヴィタペクトは、補給のためにヴィタミンとセットになっているので、もしかして、そっちが効いてるのかな?

B
> リーフレインさん
ビタミンですか。
利尿剤とキレイな水のセットでもいけるのかもね。
いずれにしても、ペクチン関係で最優先で大事なのは、効果の有無にかかわらず(効果があるならなおさら)、タブレットでの使用には医師の監視が必要ってことだと思います。
野放しにしちゃダメですよね。
ジャムパンと味噌汁の、ちょっとへんな朝ごはんまでなら、目くじら立てなくてもオッケー。
それぐらいなら、それなりに良い面もありそうな雰囲気ってことかも。
※趣旨の血管関係離れててすみません。