萩原朔太郎(1886-1942) 蛙の死


蛙の死



蛙が殺された、

子供がまるくなつて手をあげた、

みんないつしよに、

かわゆらしい、

血だらけの手をあげた、

月が出た、

丘の上に人が立つてゐる。

帽子の下に顔がある。


『月に吠える』大正六年(1917年)

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#どちらも好きな詩なのだけれども、ほぼ同時代の人の作品であるということもスゴイ。
とくに朔太郎のほうは、昨日書かれた詩だといわれても納得してしまうほどに現代的。
と同時に、両方の詩が詩として発表され、評価されていたと考えると当時の詩の世界のほうが実は自由闊達で柔軟であったという気もしたりします。(10年の差がこれほどに大きかったと見るべきなんでしょうか? いやそれでも、朔太郎の先進性は群を抜いてたとみるべきなんだろうなあ。。)