2007-03-04から1日間の記事一覧

萩原朔太郎(1886-1942) 蛙の死

蛙の死 蛙が殺された、子供がまるくなつて手をあげた、みんないつしよに、かわゆらしい、血だらけの手をあげた、月が出た、丘の上に人が立つてゐる。帽子の下に顔がある。 『月に吠える』大正六年(1917年) - #どちらも好きな詩なのだけれども、ほぼ同時代…

伊良子清白(1877−1946)漂泊

漂泊 蓆戸(むしろど)に 秋風吹いて 河添(かはぞひ)の旅籠屋さびし 哀れなる旅の男は 夕暮の空を眺めて いと低く歌ひはじめぬ 亡母(なきはは)は 處女(おとめ)と成りて 白き額月(ぬかつき)に現はれ 亡父(なきちち)は 童子(わらは)と成りて 圓(…