サーミ人の癌の不思議

NHKの報道でやってたのは

スウェーデンでガンが増えたぞ!大変だ!
という件で、 これはおそらくトンデル論文


だけどトンデル論文をちゃんと読んでみると 大して増えてないのがわかる。。
微妙??な差ぐらいなもん(今中先生の参照)  ←この時点で既にNHKは嘘

http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/seminar/No104/CNIC0602.pdf
まあ、一回読んどいてもいいと思うし。
というかこの論文、実は、癌死リスクの追加分は 3% 、、

>114 万人を対象に 1988〜96 年の間に観察された2万2409件のガンのうち、
>849件がチェルノブイリからの放射能汚染によるものだ、と見積もっている。

とあるので、癌原因の中での比率がそもそも 849÷22409=0.03  3%
対象人数からの比率は、 849 ÷ 1140000=0.00074 0.074%  10年間で人口の0.074%が放射線関連の癌を発症と言ってるだけ。



それでもスウェーデン在住の学者さんは
http://blog.goo.ne.jp/yoshi_swe/e/6c768f8d028351291a58069838c7d812
サーミ人がトナカイ食べて内部被曝があがってるから、そのせいじゃないか?

たしかにトナカイ食の内部被曝値は高い
http://www.stralsakerhetsmyndigheten.se/Global/Publikationer/Tidsskrift/Stralskyddsnytt-nr1-2006-tema-Tjernobyl.pdf


http://ijch.fi/issues/675/67(5)%20Hassler.pdf
しかし実はサーミ人の癌は普通の人より低い
遺伝的要因とか、生活習慣的に適合してるんじゃないか?という推測

???
そもそもサーミ人の死亡率はあがってるのか?


サーミ人はガンで死ぬ人は割と少ないが、けがや心血管や脳梗塞で余計死んでいて、合計としては通常より少し死亡率が高い。(要するに、ガンで死ぬ前に死んでる)

http://www.cairn.info/revue-annales-de-demographie-historique-2006-1-page-115.htm
先住民族としてのサミ。過去には死亡率が高かったが、現在では通常と同じであること。
ただし、民族混在化が起きていて、すでに特定が難しくなりつつあることなど。
http://sjp.sagepub.com/content/35/3/306.short
ノルウェーサーメ人の人口の死亡率、1970年から1998年
そもそもの死亡率はわずかに高い。 癌死亡率は低いが、けがと脳血管、および心血管関連の死亡原因が高い。 ライフスタイルと社会的要因、遺伝的要因によるものと推測


http://oem.bmj.com/content/67/11/737.abstract
ただし15歳以下で被曝値があがった層だけは、癌の発症率が高い(特に胃がん甲状腺癌)
この統計は有意差があるかもしれない。(だけど観察数が少なすぎ、、、orz)
全体
http://twitpic.com/84me03
15歳未満
http://twitpic.com/84kur1
↑naka-takeさんの指摘あり(症例数が少なすぎて有意差を主張するのは無理)


これらから得られる考察は、、、
スウェーデンチェルノブイリ時の降下物は、1960年代の時点とあまり変わりがない。つまり、トナカイ食のサーメ人は50年にわたってセシウム食を続けている。(濃度はピークから減ってる) その結果がこの癌発症率ならば、セシウム内部被曝は癌化とは関係がないか、あるいは、サーメ人の特異性(遺伝形質?生活スタイル?食習慣?)のため癌化しないか、あるいは、初期蓄積時に被害があっても、時期を過ぎれば適応してしまうか。という感じになるのかもしれない。
癌化以外の病状については検証されていないので、そちらはまた別のはなし。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
会話

コーリー2012年01月08日 11:31
>トナカイ食のサーメ人は既に放射性セシウムに適合してしまった可能性
流石に時間が短すぎるのでは?



naka-take2012年01月08日 12:04
この統計はかなり有意差がある>というのが、地域による特異性なのか、一般化できるかで意味合いが全然違いますよね〜 他の地域で差が無いんだったら「その地域だけあたりを引いた」だけですし。このデータからは「放射線で皮膚がんが低くなる」という結論も出せちゃいますな。@母集団の数が少ないので、1例での影響により誤差でまくるので御注意。



リーフレイン2012年01月08日 12:08
1960年からですから、、案外ありかも、そもそも、サーメ人は1980年代まで乳児死亡率が高かったんですよ。かなり淘汰されてきた民族なんじゃないですか?
あと15歳未満での被曝は数字がでているということは、若いとまだ影響があるってことです。
それと、ラットの実験でも、甲状腺の蓄積初期には蓄積があがって、暫くすると(人間に比較すれば数年ぐらいだと思うんですが) 蓄積量が落ち着くという数字が出てました。 
同様に肝機能でも、遺伝的適合のマーカーがラットで観察されています。  
セシウムの問題は25%ある血漿側での動作でもあったんですが、そちらが案外早く適合していく可能性ってあるかもしれないなあって思いました。



リーフレイン2012年01月08日 12:10
naka-takeさん
>母集団の数が少ないので、1例での影響により誤差でまくるので御注意。
これは否めないですねえ。たった6例ですもんね。。



コーリー2012年01月08日 12:37
数世代じゃよほど強い淘汰圧でも目に見える違いは現れないんじゃないかと・・・・
品種改良的に異常遺伝子を強めれば別かもしれませんが。

>乳児死亡率が高かった
「非文明圏」においては【非常に高い】のは普通ではないかと
そしてその要因は感染症や栄養失調、事故などであり
放射性物質の影響は大きくないでしょう?



リーフレイン2012年01月08日 12:53
http://d.hatena.ne.jp/leaf_parsley/20111126
ラットの論文が有効だとすれば、ラットの場合で適合反応が数週間でみえてたわけだから。(1世代もかかってないです)案外早く起きる可能性ってないですか