詩 年越しの夢

「年越しの夢」

天井から御婦人方が降りてきて綾取りを始めた
あれよ、あれよという間に8畳の部屋は妙齢の美しい御婦人方
で占領されてしまい私は急いで起き上がって正座した

そんな部屋の主の事など全くおかまいなく、
御婦人方はにこにこと複雑な綾取りをとっている
2,3人で一つの模様を作り上げ、次の模様へと渡っていく
流れるような仕草で金色の鎖紐やら、赤い毛糸のようなものやら、
いつともなしに追加され、花が次々咲いていくような眩暈

ふと一人の御婦人と目があった
にっこり笑って、彼女の綾取りを私の方に差し出してくる
いやはや、これをどうしろというのだ
おっかなびっくり手を伸ばし、
右小指に一本、左小指にもう一本
顔をあげると、婦人方が一斉にこちらを覗き込んでいる。
冷や汗が たらあり

きゃいきゃいと笑い声
黒豆がゆすゆす
お盆の中で揺れていた