2ch梁山泊 ぼくたちがふっとんでいたとき

http://www7.atwiki.jp/poem_toukou/pages/515.html#p09


ぼくたちがふっとんでいたとき



ぼくたちがふっとんでいたとき
きみはほんとうに
地平線のかなたの蒙古高原に
腰をおろしながら
羊たちの群れが大きくうつった
満月のシルエットをながめていたのか



ぼくたちがふっとんでいたとき
ほんとうにサモトラケのニケ
あの大理石の殻をはがし
ルーブル美術館の回廊から
太陽への懐かしみを捨てきれず
エーゲ海に向けて飛び立ったのか



おとなたちとこどもたちほど
世界はひろいと必ず言うのだ
それならばこえをきかせてくれ
本当にききたいのかはぼくにもわからない



たとえば
焼けつく野火のまんなかで
喉がかわいたくるしさや
しぼみゆく目の干塩などを
舐めさせようとする
かのたくらみに
ことばが一枚噛んでいるなら



ぼくたちはききたくない
やさしくつつむこえでもなく
きびしくささるこえでもない



ひろびろとしたせかいを
わたりつづけようという鳥たちのこえのように
ひびきだけをきかせてくれ
ほんとうに ほんとうに
ぼくたちがふっとんでいるとき
きみはどこにいたのかを

(作者氏の許可をもらって転載)
#絶品 これが2chに投稿されたという事自体にも感動を覚えたりした。。