吉岡実 苦力 (冒頭)

苦力


支那の男は走る馬の下で眠る
瓜のかたちの小さな頭を
馬の陰茎にぴったり沿わせて
ときにはそれに吊りさがり
冬の刈られた槍ぶすまの高粱の地形を
排泄しながらのり越える
支那の男は毒の輝く涎をたらし
縄の手足で肥えた馬の胴体を結び上げ満月にねじあやめの咲きみだれた
丘陵を去ってゆく
より大きな命運を求めて
朝がくれば川をとび越える
(後略)



#全部書きたいけれど、さすがに著作権侵害になるので冒頭部分。
この詩は連わけがなく、このテンションのまま最後に至る。
書き手の膂力をひしと感じる。読んでいると、つい歯を食いしばってしまう。