断片

やややわらかな 日向のにおい 乳のにおい 目 きらきら ぷくぷくの手足 ほっぺ やわらかい やや

ジェットコースターで死亡

ジェットコースターで死亡 ジェットコースターで死亡 恐ろしく危険度の高いスリルになりつつある遊び お約束の破綻がはじまった 支払われることのない健康保険 教育のほどこされることがない義務教育 赤子を放置する親 お約束を守るために費やされる努力の息…

エニシダ

黄色いつぶつぶ が いっぱい 道にはみだして

ストイックなスイートピーがストマックにストレートパンチをスパンと決めた

ストイックなストック(株) ストイックなストマック(胃) ストイックなスイートピー(花) ストイックなスケルトン(骸骨) ストイックなスケルトンハウス(永久保存型マンション) ストイックなスカトロ女優(完璧な菜食主義) ストイックなスカー(刺青)

突堤の先に

たった一軒の家 足元の土台がいつも波に洗われて フジツボがいくつもついて かもめが鳴いて 突堤の一番先に、パンの台 朝一番に彼はその台の上に細かく砕いたパンを置く

卯の花と牡丹と金盞花 目の下の黒いくまと日焼けのしみと 赤茶けた髪の毛と 手の皺の灰と 磨いた鍋底と花の終わったシクラメンと 藤とシャガとあやめと 終わってしまった菊桃と枝垂桜と 柿若葉

雨上がりの黒ぼく

いものつるさし 紅東 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

遠足日和

雷が鳴った 雨がひとしきり降ったら遠足日和 道端の公衆トイレ前 黄色い帽子のリュックサックの群れ カラフルなお弁当とお弁当とお弁当とおにぎりと水筒と 得意げな顔 笑う、笑う、笑って、笑った おひさま

木刀

木刀が鳩尾に突き刺さった友人が転がりこんできた もう動く元気もなさそうなのでまずは木刀を引き抜く 案外と浅く、5センチほど下向き斜めに刺さっていて、 血は流れず、中に深い穴が開いた。本人死ぬ気配はない だが、なにかがきらっと光るの ?とのぞきこ…

春の終わりの一日

春の終わりの風 ひゅーっと吹いた/1日 夕焼け空/真っ黒に いつまでも熱が冷めないモーター/余韻 冷たくないシーツの間/の膨張した血管

そらを飛ぶ ひし形に交差している電線の間をかいくぐって

手足が動くということ 文字を書く動作 口 目が光を捉えていること 人 人の 感情のうねり 動作 反動 空気の流れ 音 振動 生命の振動に共振する

月爪 

月爪 昨日の月は 尖った 細い 残酷な月爪だったので 夜を枕でくるみこんで 空を引掻いてしまわないように 唄を歌って ふかい、ふかい 息を吐いたら 枯れた冬草のにおいが 枕の夜から立ちのぼった

「何を書いているのかい」と、聞くこともなく傍らに座っている 「何を考えているの」と 尋ねることもないままに 凍っていくのか、温まっていくのか と 手に触れて みる

言葉に囚われること

言葉に囚われること 執着 自己愛と昇華 (消化?) 言葉でしか構築できない概念のジレンマ 魂が立ち上がる瞬間