先に検討していた胎児の体内被曝に関連して、少し気になったので調査継続

ストロンチウムの係数が通常状態よりはるかに大きかったのに気が付いたため

まずは基本情報
http://cnic.jp/modules/radioactivity/index.php/8.html
経口摂取の実効線量係数は2.8×10-5  セシウム137の1.3×10-5と比べて約2倍

ただし、胎児の母親が摂取した場合の実効線量係数はおおきくて大体セシウム量の5%のストロンチウムを一緒に摂取していると、セシウムの影響と同等の被曝が起きてしまうので要注意。

ストロンチウムの母親の経口摂取量に応じて胎児の被曝係数
週数 

  • 260 0.0000013
  • 52
  • 26 0.0000043

0 0.000012
5 0.00002
10 0.00013
15 0.00024    ←この時期は実に36倍の係数になる
25 0.00034
35 0.00017

セシウムの場合
週数
セシウム 母体内外部被曝
0.0000007 2.00E-07
9.90E-07
0.0000023
0.0000069 0.0000027
0.0000069
0.0000066
0.0000066
0.000005
0.0000018

参照資料
被曝量計算 胎内での外部被曝内部被曝 母親の摂取ベクレルから算出
「Doses to the embryo/fetus and neonate from intakes of radionuclides by the mother
Part 1: Doses received in utero and fromactivity present at birth」
http://www.hse.gov.uk/research/crr_pdf/2001/crr01397.pdf

被曝量計算 誕生後ミルクの摂取からの被曝
「Doses to the Embryo/Fetus and Neonate from Intakes of Radionuclides by the Mother. MILK」
http://www.hse.gov.uk/research/crr_pdf/2001/crr01397p2.pdf




では、ストロンチウムの分布はどうなの?てことで、、資料をよみあさっていくと、、、
Radionuclide transport dynamics in freshwater resources
http://www-naweb.iaea.org/napc/ih/documents/TECDOCS/TECDOC%201314%20Radionuclide%20transport%202002.pdf
IAEAが2002年に出した 「水の中での放射性核種の移動のダイナミズムについて」(なんでこれを読んだかというと、ウクライナの政府が出した資料で、水とストロンチウム関連の扱いが多かったため。例えば、食品に関しても、ストロンチウム量とプルトニウム量をきちんと追加して制限値にしていた。おそらくチェルノブイリ原発からの汚染水の処理について、大きな下流域と人口湖を持っているウクライナベラルーシよりも水に敏感だったんだと思う)

問題は、p16のTABLE8.
TABLE 8. Radionuclide contamination (mBq/l) and partitioning between solid and dissolved
phase of water samples in different types of surface and groundwater
川の水の調査で、固まった部分と、水面ではストロンチウムの含有量が違う
良く考えれば当たり前で、水溶性が強く、土への定着が起きにくいストロンチウムと、定着しやすいセシウムがいつまでも同じ比率で同じ分布をしているはずがない。

この表の下のコメントには

これらの知見は、中長期的な挙動から中規模の説明についてのみ有効です。
堆積した放射性核種は、堆積イベントの後で状況が劇的に変わる可能性があります。
(例えば、最初の数週間で放射性物質降下物がおこり、その後大量に洗い流されていく。 )

と書いてあるのよね。。。

ということは、飲用水(特に福島県内で使用中の井戸水)のストロンチウム含有量を定期的に調査する必要があるんじゃないか?そこでのセシウムに対するストロンチウム比率が5%を超えることがあるようなら、現状の「セシウムの摂取制限によってストロンチウムの影響をカバーする」という論理がやや破綻するってことになるような気がする。 


まあ、とはいえ、係数が劇的に高いのは妊婦さんだけなので、、、妊婦さん、気を付けてください。でFAかもしれない。