県境を超えて、中国・四国 地方の詩文庫

asahi.com】2008年02月16日11時55分

 中国・四国地方の現代詩人に的を絞った珍しい詩文庫が発行されている。和光出版(岡山市)の「中四国詩人文庫」で、計50冊にする計画だ。自費出版だが、装丁をそろえ費用を抑え、人選を地域の中核的な詩人に依頼。名を連ねることがステータスになる文庫を目指す。


中四国詩人文庫。すでに5冊が発行された
 06年の岡隆夫さんを第1巻に、渡部兼直さん、中桐美和子さん、三沢浩二さん、扶川茂さんとこれまで5巻が出た。和光出版は岡山市にある昭和印刷の出版部門。文庫は「出版を身近なものに」という理念のもと、看板シリーズにしたいと企画した。「大きな賞に届かない、あるいは欲のない方の優れた作品は、中央の出版社は手を伸ばしにくい」と西規雄社長は語る。

 個人加入の「中四国詩人会」(約230人)を00年に立ち上げた岡隆夫さんらと交流があり、人選を頼んだところ、岡さんが第1巻を買って出た。「地方の詩壇は高齢化と県単位のマンネリズムに陥っている。閉塞(へいそく)感を打破するには広域で刺激しあう必要がある」と岡さんは話す。

 地域限定の詩文庫には、やはり自費出版で10冊出した「沖縄現代詩文庫」(脈発行所、89〜94年)がある。

 書き手ばかりが増えて読み手は減ったとされる詩の世界。中四国詩人文庫が活性化の一翼を担えるか注目したい。問い合わせは和光出版(086・902・2440)。
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