原爆詩集に英語版 核保有国の図書館などへ寄贈

asahi.com]2007年12月28日
 峠三吉栗原貞子らの被爆詩人と戦後生まれの詩人らの計181人の217編を集め、今夏刊行された「原爆詩一八一人集」の英語版が完成した。編者や翻訳者は人脈をたどり、ノーベル賞受賞者・団体や映画監督、各国の詩人・ジャーナリストらのほか核保有国の図書館などにも贈る。原爆詩の投稿を呼びかけ、数年後にはそれらの詩を収めた増補版をつくる計画だ。
 「原爆詩一八一人集」は今年8月6日に発行。これまで約4千部が売れた。
 英語版は冒頭にメッセージを添えた。「この詩選集は核兵器など大量破壊兵器が無くなる日まで継続されるべき、詩的な平和運動の結晶体」と訴えて原爆詩の投稿を募り、100冊以上を届ける。
 英語版翻訳者の一人で、東洋大講師の水崎野里子さん(58)は、08年開催の世界詩人会議に出席し、1985年にノーベル平和賞を受賞した「核戦争防止国際医師会議」(IPPNW)の元副総裁で、旧知の仲の詩人エルネスト・カーン氏=イスラエル在住=にも詩集を手渡す。
 他の翻訳者もそれぞれのつてをたどり、映画「華氏(かし)911」でブッシュ政権を批判したマイケル・ムーア監督や、北アイルランド出身の詩人シェイマス・ヒーニー氏(ノーベル文学賞受賞)、オノ・ヨーコさん、ジミー・カーター米元大統領(ノーベル平和賞受賞)が設けたカーター・センターなどにも贈るという。
 定価は日本語、英語版とも2100円(税込み)。問い合わせはコールサック社(03・5944・3258)へ。
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200712280062.html