田道太郎氏死去 京都大名誉教授 仏文学者

京都新聞】12月4日 
 フランス文学や現代風俗の研究で知られる京都大名誉教授の多田道太郎(ただ・みちたろう)氏が2日午前10時、 城陽市内の病院で死去した。83歳だった。京都市出身。自宅は公表していない。葬儀・告別式は6日午前11時から、 自宅で親族のみで行う。喪主は妻の知恵子(ちえこ)さん。  京大文学部文学科卒。京大人文科学研究所助教授を経て、 1976年から88年まで教授。京大退官後も、明治学院大や武庫川女子大などで西洋思想史や西洋文化史、日本文化論、
服飾文明論などを教えた。  京大人文研で「ボードレール研究」などの共同研究班を組織。88年に1500ページを 超える大冊「ボードレール『悪の花』注釈」を出版し、日本におけるフランス詩研究史で初の試みとして国内外の研究者から高い評価を受けた。  76年に故・桑原武夫さんらと「現代風俗学研究会」を結成。日本の文化、風俗、社会について卓越した批評と解析を行った。パチンコやストリップなど「俗悪といわれる文化」にも強い関心を寄せ、身辺雑事から語る多芸多才の論客として知られた。旺盛な海外旅行者で「食文化」の火付け役の1人でもある。  78年に「クラウン仏和辞典」で毎日出版文化賞、99年に「変身放火論」で伊藤整文学賞、2004年に京都府文化賞・特別功労賞。  著書は「多田道太郎著作集」(全6巻)のほか、「しぐさの日本文化」「遊びと日本人」「風俗学」「変貌する日本人」 「からだの日本文化」など多数。
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