中也最後の「四行詩」1日限り公開…没後70年、山口で

【読売新聞】10月24日
特別公開された中原中也が最後に書いたとされる「四行詩」の原稿 今年で生誕100年、没後70年を 迎えた山口市出身の叙情詩人・中原中也の命日に当たる22日、同市湯田温泉中原中也記念館で、中也が最後に書いたとされる「四行詩」の直筆原稿が1日だけ特別公開された。  2004年4月に中也の遺族から同館に寄贈され、公開は2度目。詩には、帰郷を望みながら鎌倉で病床に伏した中也の孤独感などが込められ、見る人の心を引き付けている。
 四行詩は200字詰め原稿用紙1枚に万年筆で、「おまへはもう静かな部屋に帰るがよい。煥発する都会 の夜々の燈火を後(あと)に、おまへはもう、郊外の道を辿(たど)るがよい。そして心の呟きを、ゆつくりと聴くがよい。」と書かれている。原稿用紙の傷みが著しいため、普段は収蔵庫で保管している。  中也は、神奈川県鎌倉市で体調を崩し、山口への帰郷を決意したものの、1937年10月22日に結核性脳膜炎で死去した。発病前の同年9月30日の日記に2編の詩を書いたと記述。この「四行」と、 「秋の夜に、湯に浸り」の未刊詩が原稿用紙3枚にしたためられており、これらが最後の作品と考えられている。 来館した大阪府河内長野市司法書士上野孝雄さん(62)は「孤独の中で居場所を求める中也の気持ちや帰郷への強い決意がよく伝わってくる」と見入っていた。
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/ne_07102253.htm