H氏賞創設者の二男 全受賞作の電子化着手 :

福井新聞】10月24日午前10時22分
 「詩壇の芥川賞」で知られる「H氏賞」の創設者で福井県坂井市三国町出身の故平澤貞二郎氏の二男、照雄氏(66)=東京都=が23日、同市役所を訪れ、三国図書館に保管されている歴代受賞作の電子記録化に三国高の協力を得ることを明らかにした。来年にもクラブ活動や賛同する生徒の手で作業に入り、スキャナーなどの機材は、照雄氏が会長を務める電子機器商社「協栄産業」が無償提供する。
 H氏賞は、父親の貞二郎氏が日本現代詩人会に基金を投じ、1951年に創設。詩壇の芥川賞として定着し、地元三国町出身の荒川洋治氏、ねじめ正一さんら63人が受賞。しかし運営が厳しいことから、協栄産業が資金援助を決め、今年から活動を始めていた。歴代受賞作の電子記録化はその一環。
 平澤氏によると、受賞作を全冊保管しているのは全国で三国図書館だけで、当初は図書館側に電子化を 依頼することも考えたが人的不足で断念。来年開校100周年に当たり、スキャナー入力などの作業を通し若い世代の詩への愛着が期待できる三国高に依頼することにしたという。 この日は三国高を訪れた後、市役所では小林正明副市長に経緯を報告。さらに同産業が制作した小冊子「H氏賞57年のあゆみ」50冊を同市に寄贈した。 平澤氏は「蔵書63冊は1万ページにもなり長期的な作業となる。電子化を通し、広く市民や高校生にH氏賞を知ってもらいたい」と話している。 なお寄贈されたH氏賞の小冊子は、1万部を発行し全国の図書館に贈られた。
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