ルワンダ:虐殺の生存者の物語

【ニューヨークIPS=エリザベス・アデクンル、4月12日】【JANJAN
 ケニア出身のジャーナリスト、マリー・キマニが1994年のルワンダ虐殺を丹念に調査した作品を発表した。この本には、人間性そのものと、想像を絶する悲劇を耐え抜いた人々が描かれている。

 詩と物語が混在する「彼は簡単には死ななかったHe Didn’t Die Easy」と題された作品の前半は、100日間のツチ族フツ族の抗争に焦点を当てている。最終的にこの抗争で80万人が死んだ。15歳で39歳の隣人を殺害し、以来ずっと獄中にいる少年の言葉がタイトルに引用されている。

 キマニはIPSの取材に応じ、「ルワンダの物理的な基盤はほぼ復興したが、感情的には今なお荒廃している」と語った。1976年生まれのキマニは、ナイロビで貧困撲滅を目指すNGOアクションエイド・インターナショナルの地域コーディネータをしていた。1999年から2005年に、ジャーナリストとしてルワンダを取材した。

 キマニによると、10〜25万人のルワンダ人女性がレイプされた。レイプや殺人の加害者は逮捕されたが、法律専門家の90%が殺害されていて、法手続きは滞っている。囚人が多すぎて刑務所から釈放された殺人者の隣人と顔を合わせるケースもあるという。キマニは「殺さなければ逆に殺される」という政治家の扇動が残虐行為の原因だと考える。

 「果てしない不安Ramblings of a Troubled Mind」という題の後半は、個人的な思い出が描かれる。キマニは両親ともに教師で、リベラルな環境で育った。誰もが嫌な過去を思い出したくない中で、キマニは真実を語り、人々につきつけた。キマニは欧州の介入を待つアフリカの姿勢を非難し、自分たちの手で取り組む問題だと主張する。

 キマニの本は犠牲者への同情を求めるものでも、アフリカの子供の過酷な生活の記録でもない。人間性の再発見の試みである。キマニは本の最後に「恐ろしい経験に怯える自分と、その経験に意味を見つけようとする自分がいた」と書いている。ルワンダ虐殺を描いた「He Didn’t Die Easy, The Search for Hope Amid Poverty」という本について報告する。
原文 http://ipsnews.net/news.asp?idnews=37324 
翻訳/サマリー=加藤律子(Diplomatt)/IPS Japan浅霧勝浩
http://www.janjan.jp/world/0704/0704214195/1.php