音楽の力、生きる力に 尼崎脱線で負傷の笹岡さん

神戸新聞】2007/04/13
尼崎JR脱線事故で負傷した伊丹市のアルバイト笹岡恵奈さん(23)が、事故から二年と
なる二十五日、大阪市内でチャリティーライブを開く。事故で心に傷を負った笹岡さんは、
音楽や詩に励まされ、一歩を踏み出すことができた。「今度は私が」。アーティストに直接
交渉し、ライブの実現にこぎつけた。当日は司会に加え「今を精一杯生きよう」という思い
を込めて詩を朗読する。(中島摩子)
 笹岡さんは三両目に乗車。衝撃で意識を失い、気づくと自分の周りに人が折り重なっていた。
事故後、生き残ったことへの罪悪感に悩み、毎晩、悪夢に跳び起きた。吐き気がひどく、食事
もできなかったが、音楽を聞くことで少しずつ希望がわいた。ディスクジョッキー(DJ)や
司会者になる新たな夢もできた。
 イベントは、大阪市福島区のライブハウス「2ndLINE(セカンドライン)」で午後六
時から。脱線事故をテーマにした歌がある「jamzIp(ジャムジップ)」、篠山市出身の
兄弟デュオで昨年メジャーデビューした「ちめいど」など六組が出演する。
 笹岡さんは事故後、作詞やイラストなどで活躍し、若者に人気のポップアーティスト、326
ナカムラミツル)さんの詩を読み、勇気づけられたという。イベントへの協力を依頼したとこ
ろ「もう一度、笑顔に」という新作の詩が届いた。「今を精一杯に生きる」というメッセージに、
読みながら涙が止まらくなった。
 「若い人にもっと事故のことを知ってほしい」と話す笹岡さん。今も事故区間のJRに乗れな
いなど精神的なショックが残るが「思いを伝えたいから、本番では絶対に泣かない」と発声練習
に励んでいる。収益金は事故の被害者支援活動などに役立てる。
ttp://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000300584.shtml