リチャード・ブローティガン
リチャード・ブローティガン詩集 中上哲夫訳 思潮社
男がふたり車から降りる
男がふたり車から降りる
そして車の脇に立っている。ふたりは
ほかにどうしたらいいかわからないのだ
(p13)
#巷にあふれかえっている詩に似ている。 いや、そこまで言っては申し訳ない、語句の形式が近似なのだった。 (飛び方はこちらのほうがもちろん格段にいい)
シンプルで、センスのいい、ある意味ものすごくストレートな文字列を見ていると、つくづくあたしたちの時代(ひとくくりするのはあれだが)はこういう文字列が好きなんだと思う。
アイロニーと日常性、残酷で、引き裂かれながらバランスを保つ乾いた感覚。よけいな飾りはいらないとばかりに平易な言葉を 連ねた文字列は、ネットで誰かとしゃべり、恋人と当たり前にセックスをして、おやつを買いにコンビニに走って、大文字の二文字熟語に人生をかけるなんてことはセンスがないと感じてて、 あまりいろんな期待をしない時代の言葉なのかなと思う。