先天性欠損症について

UNSCEARの報告にはこの先天性欠損症についての考察が欠けているという指摘がすでにされています。実際、この異常は他の要因(タバコ、飲酒、栄養障害その他)の影響を分離することが非常に困難であることが考察を欠いていた一因でもあります。
同時に、過去の報告が州単位であったため、偏在する数値が明示しきれていなかったという問題もありました。

後者の点に関して、ERUCATの枠組みで、詳細な地域に分割したデータの検討がなされました。2007年6月ブタペスト、環境汚染に関する現在の研究成果としてベラルーシにおける先天異常が提示されています。 (Eurocatー先天異常のヨーロッパサーベイランスーは1979年に開始したヨーロッパの人口ベースのレジストリネットワークで、ヨーロッパ全体の29%をカバーしています。)チェルノブイリでの増加は多指症、四肢欠損、と奇形で多因子原因のもとでみられました。(2007 Zatsepin)南アラバマ大学の最近の調査によると、ウクライナのRivne州にて、2000年〜2006年の異常率がヨーロッパ全土の中で最高であったことが報告されています。
しかしながら、低線量放射線の相乗因子として、アルコール消費量と微量栄養素欠乏症、食事習慣、高い有病率等があると予想されるにもかかわらず、これらの研究ではそういった因子のデータが取れてないのが欠点となっています。

最新の研究では(Dancause 2010)Rivne-Polissiaの344人の女性を対象に観察がされています。被曝経路の特定を試みています。アルコール摂取は低く、単独では先天性欠損の因子にはなっていません。野生キノコや私営農園の牛乳といったものが主な被曝経路になっていました。著者は、この慢性的な経口摂取による内部被曝が、汚染地域の先天性欠損症率の高さに関連しているのではないかと結論づけています。
汚染度の違いによる偏在等も含めて、今後の研究が待たれています。