初めに

1986年4月26日、ウクライナベラルーシ国境より南約20キロに位置するチェルノブイリ原子力発電所が事故を起こしました。その結果、主にヨーロッパでは大気中に大量の放射性物質の長期リリースが続き、広範囲にわたる汚染がもたらされました。
事故の健康への影響は、緊急時、復旧時とクリーンアップに従事した労働者たちだけでなく、ベラルーシウクライナ、ロシアで非常に汚染されてしまった地域に居住する多数の人口にも見られてきました。
チェルノブイリ事故から25周年を視野に、2011年にこの第31専門家グループは、 安全衛生基準研究に関して、共通理解を得るため、Working Party on Research Implications on Health and Safety Standards (WP RIHSS)にチェルノブイリの健康影響に関する最近の科学的知見や出版物を確認する要約レポートの作成を依頼しました。このレポートは推定値ではなく、実際に観察された住民への健康への影響に限って作成されたものです。
この要約レポートでは、チェルノブイリ事故に起因する被曝集団の放射線量、およびその被曝に関連させることができる健康影響の観察の現在の知識と概要を提供します。レポートには子甲状腺癌、白血病乳がんおよびその他の固形癌だけではなく、遺伝的影響、先天性欠損症、子供の罹患率、および心臓疾患、精算人の白内障放射線誘発癌以外の疾患をカバーしています。
最後に網羅的ではないながら、チェルノブイリの健康影響に関する最近の科学出版物のリストをあげられています。
第31専門家グループは、このすぐれて優秀なレポートを作成してくださったWP RIHSSに深く感謝をします。
Series of the European Commission.
Augustin Janssens
Head of Radiation Protection Unit