詩人の歌曲集

【読売新聞】2008年1月23日
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/chiba/news/20080123-OYT8T00003.htm
香取市佐原ロのピアノ講師、吉田美穂子さん(50)が、同市大倉出身の詩人、三越左千夫(1916〜92年)の作品に曲をつけ、楽譜「なかないよ」として自費出版した。吉田さんがピアノ、知人で全国でライブ活動を行っているシンガー・ソングライターの伊太地山(いたちやま)伝兵衛(でんべえ)さんがボーカルを担当したCDも制作。吉田さんは「少年がそのまま大人になったような、言葉に人柄がにじみ出ている詩。昔から歌い継がれている歌のように、自然に口ずさんでほしい」と話している。

 三越は「なかないよ」「ありさん」「かあさんかあさん」など子供向けの詩や童謡を多く創作し、75歳で他界した。

 吉田さんは兵庫県出身で、1982年の結婚とともに香取市に移り住み、主に同市内でピアノ講師や地元合唱団の伴奏者として音楽活動を行ってきた。2001年、同市で行われた「三越左千夫童謡コンサート」に伴奏者として出演。そこで知り合った三越の親族から、自由な着想で曲をつけてほしいと依頼され、翌年には「なかないよ」「きたかぜれっしゃ」など4編を作曲。そのうちの「なかないよ」は、作曲家・山崎八郎の童謡曲集にも収録された。以降、年に4、5曲を作るなど三越作品とのかかわりを深めてきた。

 曲をつけるにあたり、重視したのは「情景」。「詩を読んでいて、ふと目に留まったらそこだけ何回も読み、情景が浮かんできて初めてメロディーが出来る」と吉田さんは話す。初めての曲から数年がたって20曲以上が完成し、「オリジナルの歌曲集としてまとめたい」と決意。伊太地山さんの協力を受けて、歌曲集とCD制作に取り組んだ。ちょうど自身の結婚25年、50歳という節目の記念に、という思いも出版を後押ししたという。

(2008年1月23日 読売新聞)