米国発の詩、邦訳出版 「テロ犠牲者の作」誤解だったが

asahi.com 2007年09月25日17時12分
6年前の米国同時多発テロをきっかけにネットで広がった詩が、「最後だとわかっていたなら」という邦題で今年、翻訳・出版された。「9・11で亡くなった若い消防士が生前に書き残した」というふれこみで、全米の追悼集会でも朗読された。だが実は、息子を不慮の事故で亡くした母親が作った詩だった。真実が分かった後でも詩は輝きを失わず、言葉の壁を越え広がり続けている。
東京都豊島区で9日、出版を記念した朗読会が開かれ、約200人が集まった。朗読会には、翻訳した福島県富岡町の英語学校主宰、佐川睦(むつみ)さん(38)も参加した。
この詩を佐川さんが知ったのは「9・11からしばらくして、米国の友人から届いたメールでだった。大切な人が亡くなることが分かっていたなら、もっと伝えたいことがあったのに、という内容だ。病気で92年に亡くなった姉や01年に飲酒運転の車にひかれて突然亡くなった母への思いと重なり、多くの人に伝えたいと思うようになった。
調べると、作者はノーマ・コーネット・マレックさんという米国人女性で、同時多発テロとは何の関係もないことが分かった。ノーマさんも04年にがんで亡くなっていた。それでも、「価値は変わらない」と、佐川さんは日本語訳を自分のホームページに載せた。
翻訳は次々とネットで紹介された。東京のサンクチュアリ出版から声がかかり今年6月に出版。半年足らずで3刷3万5000部になった。
読者からは「この思いが世界に広がっていけば、平和な地球になるんでしょうね」「明日、何があるかわからないなら、今日、大切な人たちと過ごす時間を大切にしたい」など多数の感想が寄せられている。
http://www.asahi.com/national/update/0922/TKY200709220118.html



詩の小野十三郎賞、山口と堺の2氏が受賞
2007年09月21日
 創造的な詩集や詩評論書に贈られる第9回小野十三郎賞(大阪文学協会主催、朝新聞社共催)の選考会が21日、大阪市内であり、山口県岩国市の長津功三良さん(73)の詩集「影たちの墓碑銘」と堺市の中岡淳一さん(69)の詩集「宙家族」に決まった。複数作品の同賞受賞は初めて。賞金各25万円。  また、同特別賞には群馬県桐生市の久保田穣さん(72)の詩評論書「栗生楽泉園の詩人たち」が選ばれた。賞金10万円。
贈呈式は11月24日




中国文学の虚無 詩人と作家に聞く
東京新聞】2007年9月23日 朝刊
中国を代表する現代詩人、芒克(マンク)氏(56)と、世界的な近代詩人、艾青氏(1910−96年)の子息で作家、艾丹(アイタン)氏(45)が本紙の取材に応じた。ともに“政治”に翻弄(ほんろう)された過去を持つ。時に虚無的にも感じる2人の言葉から、中国文学界の現状と課題を探る。 (山東省青島で、豊田雄二郎)(本文、サイト参照)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2007092302050952.html



熱海の現代詩人、新藤凉子さん 『丸山薫賞』受賞
中日新聞】2007年9月19日
受賞作「薔薇色のカモメ」
 2006年度出版の優れた現代詩集に贈られる「丸山薫賞」の受賞作に、熱海市の新藤凉子さん(75)の「薔薇(ばら)色のカモメ」が選ばれた。主催する愛知県豊橋市が18日発表した。
 豊橋市にゆかりの深い詩人丸山薫にちなみ、没後20年の1994年に制定され、14回目。
 新藤さんは1954(昭和29)年、詩人の三木卓さんらと詩誌「氾」に加わり、62年には詩誌「歴程」同人に。86年、詩集「薔薇ふみ」で高見順賞を受賞した。「薔薇色のカモメ」は、異国の情景を描く「残照」、先輩詩人への追悼、夫や母の死をつづる「海光」「唱歌」の三部構成。平易で柔らかな言葉の流れが、風景や心の動きを豊かなイメージとともに紡ぎ出す。
 「どこへ」では「いつも はつらつと笑っていた頬や声 光る歯/輪郭のすべて かたちあるものは なくなるとしても/ならば たましいは どのあたりに」とつづっている。
新藤さん喜びの声 「いのりのように書いた」 熱海の、海しか見えないところで20年を過ごし、その間に書いた詩を纏(まと)めたものが「薔薇色のカモメ」でした。この部屋から見える海は、いのち終えたものみな、蘇ってくると信じたくなるほど美しいのです。丸山薫先生は「わが詩は火と水のかげより生まれぬ」といわれたそうですが、私もそのかげで、いのりのように書きました。それを選んでくださった諸先生がたに、深く感謝をいたします

http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20070919/CK2007091902049998.html